ECサイトがブランディングを進めるメリットと方法

eccLabの調査によると、2019年5月時点に日本で稼働しているECサイトは270万件であり、300万件を突破する勢いだということがわかりました。

実店舗の売りである「体験」を提供できないECサイトは没個性になりがちであり、数多くある競合サイトとの価格競争に走るECサイトが目立ちます。そのような状況下で、ユニーク性を保ち成功を収めるためには、自社ECの強みと魅力を広く消費者に認知してもらう「ブランディング」が欠かせません。

この記事では、ECサイトがブランディングを行うメリットと、ブランディングを成功させる方法を解説します。

1.いまECサイトにブランディングが必要な理由

冒頭で述べた通り、近年ECサイトは乱立しており、価格競争に疲弊する企業が目立ち始めました。独自商品や独占輸入の商材であれば価格競争は生まれにくいですが、仕入れ商品では「安さ」を売りにせざるを得ない状況が続いています。

実店舗と比べて個性を出しにくいECサイトですが、ライバルと差別化できる方法のひとつが「ブランディング」です。

ブランディングとは、「XXなら○○(ブランド名)」というように、ブランドイメージを消費者に浸透させる活動のことを指します。例えば「家具ならニトリ」「掃除機ならダイソン」「アパレル通販ならZOZO」のように、代表的な商品やサービスとブランド名が結びついて思い浮かぶようになれば、ブランディングに成功しているといえます。

「XXなら○○(ブランド名)」が市場に浸透すれば、他社と比較検討をされにくく、憧れや信頼といった付加価値が生まれ、ファンが増えていきます。ユーザーにとって「オンリーワンのECサイト」になるには、ブランディングを行い、ECサイトの特徴や魅力を想起してもらうことが必要です。

 

2.ECサイトでブランディングを行うメリット

ECサイトでブランディングを行うことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを3つ見ていきましょう。

ユーザーに自社ブランドを印象付けられる

ECサイトでブランディングを行う最初のメリットは、前章でも触れたように自社ブランドの価値を市場に印象づけて、信頼性や競争優位性を勝ち取ることができることです。

アップルの製品は、価格が高くてもなぜ売れるのでしょうか?それはアップルがブランディングに強く、「アップルの製品なら信頼できる」「アップル製品を持ちたい」とユーザーが付加価値を感じるからにほかなりません。

ブランディングに成功すれば、自社に対してポジティブなイメージを持ってもらえるようになり、価格競争から抜け出せます。既にブランドイメージが定着しているため、大掛かりな集客施策も必要なくなるでしょう。

リピーター獲得につながる

ブランディングに成功すると、価値的な優位性が生まれ、ファンが増えていきます。ファンは愛着が強く、何度もECサイトを訪問して商品を購入してくれるようになります。リピート購入や客単価の上昇が期待できるでしょう。

社内で商品に対する認識が揃う

ブランディングは顧客に対してだけではなく、従業員に対して行ってもプラス効果が生まれます。社内で自社ブランドへの愛着や誇りが生まれる「インナーブランディング」は、従業員のモチベーションアップや積極的なアウターブランディング活動につながるのです。

社内で自社商品・ブランドに対する認識がそろうことで、社員自身がブランド力向上に貢献し、結果的に市場へのブランド浸透につながっていくでしょう。

 

3.ECサイトのブランディングを成功させる方法

それではECサイトのブランディングを成功させるためには、どのような方法をとればいいのでしょうか。具体的な手法を3つ紹介します。

競合他社と比較する

自社のブランディングを行うために、競合他社との比較は欠かせません。ブランディングは、自社と他社の違いを明確にして、自社商品・サービスの特徴や強みをユーザーに覚えてもらう必要があるからです。

そのため、ブランディングは競合分析からスタートします。競合他社とは違う、自社の強みと弱みを発見し、独自の価値をアピールしましょう。

現状を把握するために、環境分析もすすめます。環境分析には、自社(Company)・顧客(Customer)・競合(Competitor)の3つの市場についての情報を整理する3C分析や、自社を取り巻く政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)の4つの要素を分析するPEST分析などのフレームワークを活用すると効率的です。

ペルソナに向けたアプローチをする

ブランディングは、顧客ありきで進めることが大切です。他社と差別化するためには、自社の顧客に価値を見いだしてもらう必要があるため、「どうしたら顧客に喜んでもらえるのか」という視点を常に持つ必要があります。

そこで役立つのが、自社のターゲットユーザーを具現化した「ペルソナ」です。

訴求するペルソナをきちんと絞り込んで設定すれば、顧客像がチーム内でぶれることなく、施策の方向性が定まります。そのペルソナにとって魅力的なブランドになるにはどうすればいいのかを考えていくことが大切です。

ECサイトやSNS、広告でコンセプトを統一させる

ブランディングは、ECサイト単独ではなく、企業全体で進めることが重要です。ブランドとしての統一感がないと、ECサイトにアクセスしたユーザーが違和感を覚えたり、混乱したりする可能性があります。

例えば、高級な商品を扱い、企業イメージもハイクラスなものを意識しているのに、ECサイトがポップなデザインとなっている場合、ブランドイメージとECサイトが合っていないことになります。SNSや広告で使う文章・画像もハイデザインで高級感あるものを意識しなければいけません。

施策によってアプローチ方法を変えることはかまいませんが、コンセプトは自社ブランドを感じさせるものに統一し、顧客に自社イメージを印象づけるようにしてください。

 

4.まとめ

ECサイトの数が増え、どのサイトを開いても同じような商品しか並ばなくなったいま、「価格」以外でユーザーに選んでもらうためにはブランディングが欠かせません。

自社の強みや魅力を多くのユーザーに認知してもらい、ブランディングに成功すれば、リピーターの獲得につながります。競合調査や環境分析で自社の強みを洗い出し、自社ECサイトのブランディングを効果的に進めるようにしてください。

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Webコンサルタント 広告代理店にてメディア運営・SEOディレクション・Web広告運用を経験。 現在はコンテンツSEOとWeb担当者向けメディア『Webly』の編集を担当。

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